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2020/01/01
ライプチヒでのこぼれ話

昨年12月初め、所用でライプチヒに1週間ほど滞在しました。宿泊先はRadisson-Blu-Hotel(ラジソンホテル)で、2月27日からの第16回ライプチヒ講座の宿泊先でもあり、その下見も兼ねて。今までは毎年、Westin-Hotel(ウェスティン・ホテル)で、この時期はまだ冬の寒い時期であるため、とくに朝食の美味しい所ということに拘って利用していました。しかし、ラジソンホテルも、と言うか当ホテルのほうが充実していたのでホッと一安心。旧市街に面しており、ライプチヒ大学本館(講座会場のスポーツ科学部は市電5分程度)やゲヴァントハウス・コンサートホール、オペラ劇場などは目の前。また、すぐ近くに良質食品で有名なスーパー(EDEKA)もあり、たいへん便利。とくに夕食は毎晩レストランでというわけには行かないので(タクシー代も含め、全般的に値上がり傾向)、助かります。訪問時はちょうどクリスマス市で賑わっていました。

 

滞在中お世話してくれた親友ハルトマン氏(スポーツ科学部)から聞いた話しをひとつ。

IAT(国立応用トレーニング研究所)の一部門「タレント発掘育成」のスタッフが一気に5~6人ほど増える予定とのこと。なんでもその資金は全国の各州から拠出され、その額は約2億円。現在、その部門の責任者アンチェ・ホフマン女史(IAT副所長で、バスケ出身。日本に幾度か訪問)を中心に人選作業中で、全国から150人ほどの応募があったらしい。詳しい情報は後日ハルトマン氏から届く予定。彼曰く、「第二の春がやってきた!」。

ホフマン女史はかなり豊富な知見を持っており、年若くして副所長に抜擢された人物で、とくに旧東独のスポーツ科学に精通していることが抜擢された理由の一つでもある。彼女は、ジュニア育成のキーワードはコオーディネーション、スピード、体幹の3つだ、と極めて明快だ。だから、「人脈」からではない、真に「優秀な」スタッフを採用するに違いない。第二の春は大きな実をもたらすのは確かだ。

 

IATは講座中に訪問する予定。旧東独時代はFKS(体育スポーツ研究所)と言われ、世界最大規模の約500人の専門スタッフがいたが、ドイツ統合後に解体し、IATとして再出発した。その当初は80人にも満たない規模だったが、徐々に規模が拡大し、現在は150人を超え、ドイツ・トップスポーツを支えるうえで最大の実績を挙げている。スタッフの多くが常にトレーニング現場でコーチや選手をサポートするため(1年のうちほぼ半分以上!)、訪問するといつでも所内は静かだ。どこかの国とは大きな違い。もちろん、どの国でもそうであるように当研究所は「秘密」であり、簡単にノウハウを公開しない。通常は訪問もできないが、コレスポだけは歓迎してくれる。これも長年にわたるお付き合いのおかげ。「あの国」だけは決して訪問させない、というのがあるスタッフの言葉だった。 (高橋日出二)

 

 

2019/12/19
タイガーウッズ復活への懸念事項

2019年10月に行われた、日本初開催のPGAツアーZOZO CHAMPIONSHIPで見事優勝を果たしたタイガーウッズですが、

腰の手術歴から考慮するとは決して盤石なものとは言えないと、脊髄脊椎の専門医師は語っています。

アスリートゴルファーに携わるトレーナーに読んでいただきたい記事です。

詳細はこちらゴルフ用品界ニュースへ https://www.gew.co.jp/news/g_60250

 

2019/09/07
コレスポ事務局の移転

南行徳そして行徳に事務局を構えて約20年以上を経過しました。
これまでは”都心”の喧騒にもめげず何とかやってきましたが、どうも生体が”静寂”を要求し始めたようです。
偶然にも、同じ千葉県の房総半島の先端に、狭いながらも海の眺めのよい部屋を見つけ、衝動的に決めてしまいました。静かな環境ですが、夏は子どもや学生たちの臨海学校やらスポーツ合宿の盛んなところでかなりのにぎわいで、民宿もかなりあります。登山やジョギングなどもできます。
なんだか”山奥”に引っ越すという感覚はなく、「体を動かせ!」というプレッシャーを与えてくれそうな環境です。
また、JR駅や道の駅(高速バスで都心や羽田空港へ約1時間半)も徒歩数分のところにあります。じつは、ここであれば、2020年のオリンピックで来日するドイツの知人や友人の中継地として役立つかもしれないということもあります。

1か月ほど前から断捨離していますが、身の回りのものが少なくなるに連れて心が軽くなるという”浮遊感”を堪能しています。当初は「終活」という気分でしたが、今は何だか「復活」という高揚感をもっています。

9月18日に引っ越します。新しい住所などは以下のとおり:

〒299-226 千葉県南房総市 市部171-1-1205
固定電話:0470-28-4838(10/2~)

以上ですが、18日から10月2日にかけて、メール送信などが滞ることも予想されるのでご了承ください。

その場合は、携帯(090-9207-9399)にお願いいたします。(高橋日出二)

2019/08/06
体操とマルチスポーツそして左打ち

渋野日向子プロ優勝 全英女子オープンゴルフ

 

渋野選手の母親が講師を務める「体操」教室に幼少から参加し、ソフトボール、ゴルフ、野球、「マルチスポーツ」を実践し、左右の身体バランスと左右の巧緻性の育成を考慮してゴルフは右打ち、ソフトボールは左打ち「両側性トレーニング」の実践。さらには、両親はハイレベルの元投擲選手(遺伝的なタレント性)、他のスポーツもおこなっていながら最終的に選んだ種目はゴルフ(適性診断)。渋野選手の優勝とドイツスポーツ科学のキーワードを結びつけながら、今回の優勝をお祝いしたいと思います。今後のさらなる活躍に期待しつつ、個人的には左打ち練習に注目していきます。(鈴木タケル)詳しい記事は、毎日新聞記事へ 写真引用

体操とマルチスポーツそして左打ち
2019/07/16
Positive ContagionによるPlacebo Effect

Positive Contagionとは肯定的伝染と訳せばよいのでしょうか。Placebo Effectとは、有名な偽薬効果のことです。

今回は、道具に関するプラセボ効果について興味深い研究を紹介しています。研究者の1人は、マックス・プランク研究所のメンバーですが、私たちが行くライプチヒにあるマックス・プランク研究所でななく、テュービンゲンというシュツットガルト南部の都市にある研究所らしいです。ライプチヒにあるライプチヒ大学も1409年設立と歴史がありますが、こちらの都市にも1477年設立のテュービンゲン大学があり大学都市として有名だそうです。以下ご覧ください(鈴木タケル)

書斎のゴルフ VOL10 道具の影響


Positive ContagionによるPlacebo Effect
2019/07/07
プレッシャー下でおこる現象

アンダーシューティング現象

 

 ゴルフのパッティングにおいて緊張はつきものです。特にカップインして当然と思いがちな短い距離でのパットでは緊張状態の下で精緻な作業を要求されます。その時に不安を感じることはゴルフをやったことがある人であれば実感したことがあると思います。ゴルフ種目ではなくても、サッカーのPKやバスケットボールのフリースローなど過度の不安と緊張状態において、普段は高い確率で成功しているシュートも重要な場面になればなるほど難しくなることは想像できます。その時に、普段の動作とは、どのような差異があるのか?今回はゴルフのパッティングで行われた研究を題材に説明しています。(鈴木タケル)

 

書斎のゴルフ エビデンスGOLF VOL9 「精神的要因」

プレッシャー下でおこる現象
2019/07/03
カオスの例;指運動鈴木さんのラグビーの話は興味深いですね。

カオスの例を示すものとして「指運動実験」(下図)がライプチヒでは引用されています。
左右ヒト指し指のパラレル動作がシンメトリー動作にシステム変換するという例です。
パラレルに動かそうとしても、その意図に反してシンメトリックになってしまう…

また、渡り鳥(カモなど)の群は、まるで互いに意思疎通しながらきれいな三角形の隊列を成して、トップを替わりながら飛翔します。
また、そこには指示命令を出す「ボス鳥」はいないようです。

それぞれが自律的に動いている… 

指運動実験

以上のことをスポーツトレーニング(運動学習)に関連付けるとどうでしょうか。

モーターアプローチ(演繹的かつトップダウンに類似すると思うのですが…)とアクションアプローチ(帰納的かつボトムアップに相通じる…)。
どちらが有効かは皆さん自身が判断することだと思います。

何だか目的や対象がないから無意味だと叱られそうですが、どちらも有効ですが、昔とは比較できないほど競技レベルが高度化している現在、指導者の資質の優劣は、いかに選手の自律性を誘発し誘導することに成功するかによって定まるのではないかと思うけど… 当然と言えば当然です。

じつに“重々無尽”(あらゆることが相互に無限の関係をもって一体化し、作用しあうこと=仏教の華厳経)ですね。
これは、「情報とエネルギーの一体性」にも通じる。

情報とエネルギーは相互に条件づけあって一体化している。

バランスとアンバランスは相互に条件づけあって一体化している。

そのような対峙の如何に応じて人は動き、そして速く走れるようになる。

成功と失敗も然り…

(高橋)
2019/06/16
スキルの左右差

右打ちと左打ちでの2m距離を目標に停止させるパッティング課題   (鈴木タケル)

 

私が旧東独スポーツ科学に興味を持ったきっかけは、ゴルフにおいて本来右打ちの人が左打ちの練習をしたときに現れる効果性を調べたことからでした。ゴルフはおろかその他のスポーツやトレーニングについても左右差(ラテラリティ)を扱っていることは少なく、様々なことを調べていました。その時に旧東独トレーニング方法の中に左右をとりいれた方法があることを知りました。また、東洋では弓道での左射法の有効性などまでも調べました。それから約10年経ち、様々な人の協力を得て、ゴルフの論文を出版することができました。ほんとうに様々な人にお世話になったのですが、その中の一人で実験に使用したパターマットの(パターマット工房PROゴルフショップ)井上様が私の論文を工房ブログで紹介してくれました。簡潔にまとめられてますので興味ある方は読んでください。「初心者とプロゴルファーの優勢側スタンスと非優勢側スタンスにおけるストローク距離誤差の比較」

英語版全文 A comparison of stroke distance error from dominant and non-dominant putting stance in professional and novice golfers

スキルの左右差
2019/06/11
セットとカオス モーターアプローチvsアクションアプローチ

ラグビー日本代表元H.Cエディー・ジョーンズ氏の戦術

 

 先日の、KOLESPO高橋さんの書いたカオス(混沌)ブログ記事を読んでふと思い浮かんだことを書いてみます。モーターアプローチとアクションアプローチには、関係ないのですが何か繋がることも感じます。カオス(混沌)と聞いて、私が真っ先に思い浮かんだことが冒頭の「セットとカオス」でした。これは、2015年エディー・ジョーンズ氏がラグビー日本代表を率いて南アフリカに歴史的大金星で勝利を収めた時の戦術です、正確には、「カオス・プラス」だったと思います。セットとは、セットプレーを指しスクラムやラインアウトなどボールが止まっている状態のことで、カオスとはグラウンドでボールが動いている状態を指すそうです。つまり、セットとはある程度の秩序に基づいてプレーが進むが、カオスとはボールが無秩序に動き予測がつかない状態にあることです。体格に勝る南アフリカはセットプレーでは日本よりも上であることを前もって分析していたジョーンズ氏は、カオスの時間を多く作ることで勝機を見い出したのです。ジョーンズ氏も凄いのですが、個人的にはラグビーのゲーム分析をセットとカオスに分けて時間割合でゲーム分析した最初の人に脱帽ですが・・・規則的に行うことで向上する能力もあるし、不規則的なことで向上する能力もある、という意味で何か繋がりを感じるのは私だけでしょうか?日本ラグビーフットボール協会公式ホームページ内のレポートに、ジョーンズ氏の記事が掲載され、コーチとしての学ぶ心構えについても書かれており参考になります。(鈴木タケル)

 

写真 公益社団法人日本ラグビーフットボール協会HPより

セットとカオス モーターアプローチvsアクションアプローチ
2019/05/31
【コレスポ図書館】更新しました。

「東独トレーニング学を読む!その4」を掲載しました。

前回は,A.Lehnert: 決定的な試合のための直前準備(UWV)を紹介した。
今回は,競技種目ごとの取り組みについての報告をみてみたいと思う。
注目したいところはディスカッションのテーマにどのような問題や課題意識が取り上げられているか,という点である。各論文のカテゴリーをみると,UWVの構造問題,負荷と休息の問題,トレーニングの組織の問題,UWVのなかでの試合の構成法,心理的UWVの問題,気候や気象への適応問題,が論議されている。
UWVにはじめて取り組む競技種目もあり,初発の問題意識がどのようなものであったかを知ることができる。
(以下リンク先に続く)

https://kolespo.net/library/